旧街道ウォーク331★古代東海道の駅路をあるく24 [古代東海道2008その3]
「古淵〜野津田〜小野路〜別所〜馬引沢」活動報告
【日時・天候】2008年3月29日(土)11:40〜17:30 晴れ
【コ ー ス】 古淵駅 → 境川橋 → 木曽町 → 野津田 → 小野路 → 別所 → よこやまの道 → 馬引沢 → 永山駅(8km)
【参 加 者】○片桐拓朗、大竹亮、梶川義実、児山文一、清水俊哉、高梨健一、千川明、長澤純一、古里実、谷貝葉月、谷貝等、山川紀子、脇野真澄、脇野陽子(14名) (○は主催者)
【概況説明】 当日は暖かい晴れのもと、古淵駅そばの旧街道と横浜線が交わる地点からスタートしました。境川の谷へ下ったあと、台地上の木曽町へ。しばらく北上してから木曽・
【評価結果】 今回、古代官道用の評価項目での評価です。古代官道らしさについては、評価が分かれましたが、これは直線性の感じ方の違いによるものだと思います。風景については非常に高い点がつきましたが、丘陵からの眺め、道ばたの花や木々が好印象を与えています。史跡についてはあまり多くはなかったのですが、案内表示については高い評価となりました。
【参加者の評価結果】
1.◆全体を歩いた感想 評価点(4.60) 内訳AAAAAAAABB
A:起伏に富み豊かな自然も残り、史跡もそこそこあってとても良いコースでした。
A:相模原台地上の古淵から多摩ニュータウンの永山までが今回歩いたように一直線に繋がっていたことに驚いた。鉄道では大回りする区間が最短距離で結ばれていることがわかった。
A:桜をはじめ、野趣溢れる古道散策ができました。
A:好天に恵まれ、目前には満開の桜、足元にはたくさんの小さい春を見つけました。アップダウンがきつかったが、高台からの眺望は素晴らしく、また、多摩丘陵の尾根道は、大変気持ち良く歩ける、感動的な雑木林の小路だった。お昼に食べた「さくらそば」は、季節のてんぷらと共に美味だった。
A:台地から小河川を3回渡り、多摩丘陵の尾根へ登ったが雰囲気がよい。細かいルートは異なっているかも知れないが、概ね古代東海道のルートのような気がした。
A:多摩丘陵を越える難所だが、地形に即してほぼ最短距離で北上している。特に、よこやまの道や防人見返りの峠付近は、明瞭な尾根道、残された樹林、すばらしい眺望など、古代東海道全体の中でも屈指の魅力的な区間であろう。
A:良い季節に良いルートを歩いた。地形は結構険しく荷物を持って歩くには大変だったであろう。
A:ちょうど桜の季節に相模国から武蔵国に入る丘陵地のコースは見所が多かった。
B:満開の桜と重なった古代東海道は、思っていたより楽しむ事ができ良かったです。そして多摩丘陵の尾根道がとても印象的でした。
B:後半に入ると、古道の趣のある道になって気持ちよく歩けました。ツクシ、フキノトウ、サクラ、ユキヤナギ、コブシ、ミツマタ、キブシ、ハナニラなどが咲き誇り、春の息吹きを堪能できました。珍しく見事な地層が出ている箇所が二箇所もあり、専門家のY氏に、表面の黒い土は腐植土であることや、火山の跡の地層などを教わることができて有意義でした。
2.◆特に魅力的だったところ
○木曽富士塚:塚の上の桜が大きく見え、見事でした。
○木曽町の台地〜鶴見川の谷に向かう田舎道:自然が残り、鶯の鳴き声、つくしんぼ、ふきのとう、在来種のたんぽぽ(?)といった小さい春をたくさんみつけることができた。
○たくさんの自然が残っていたところ。植物図鑑がほしいくらいでした。
○野津田公園:丘陵地を見下ろす緑の眺めが素晴らしい。
○野津田の山:素晴らしい桜並木、公園の高台からの眺望は絶景。空の広さを感じた。
○野津田公園から小野路までの道:桜並木とそれに続く旧道に趣があった。
○小野路の一里塚:復元されたのかもしれないが、両側に残っていた。
○小野路一里塚:峠道にひっそりと残る一里塚は、この地の歴史上の重要性を現代に伝えているようだ。
○小野路一里塚付近:畑の中の古道らしい雰囲気がある。
○小野路宿:宿の雰囲気がある取り残されたような場所。
○小野路宿:かなり建て替わったとはいえ、宿場としての雰囲気が残っている。
○東光寺の上から大山を眺め、そこから防人見返り峠までの間は、雰囲気があってとても良かった。
○東光寺の高台:山桜が素晴らしかった。昨年歩いた大山が見られたことも嬉しい。
○東光寺:ここから見た南西方向の眺め。今来た道が見通せて、かつ遠くの大山がくっきり見えた。
○東光寺の眺望:裏手の山に登ると六角堂や山桜、それに大山の姿が美しい。
○別所東光寺裏の尾根:歩いてきた多摩丘陵とその先に丹沢の山々が遠望でき、後ろを振り向くと多摩ニュータウンが出現する境界領域。
○古道五差路:古道の五差路はすごい。かつてここですれ違った旅人はどのような会話をしたのだろうか。
○古道五差路〜防人見返り峠:雑木林の中の尾根道は、歩いていてとても気持が良かった。防人見返り峠から眼下に広がる多摩ニュータウン市街地の眺めも迫力があった。
○多摩よこやまの道:多摩ニュータウンの尾根道が古道跡として残されていることを評価したい。
○よこやまの道:古道五差路から防人見返りの峠までの約1キロは、自然の中に尾根道が残る貴重な区間である。眺望もすばらしく、解説板も充実している。
○防人見返りの峠:見渡す景色がとても素晴らしかったです。
○防人見返りの峠:丘陵上から秩父山系、関東平野が一望できる景色は見事で、赤城山まで遠望できたのには驚いた。
○防人見返りの峠:大山や遠く赤城山まで見えて、見晴らしが抜群。
○防人見返りの峠:地形的にうまく突出しているのか、西側の箱根、大山方面から、秩父、上州、茨城方面まで見渡せる。真冬の空気の澄んだ時に来てみたい。
○防人見返りの峠:眼下に多摩ニュータウンを一望し、見上げればはるか赤城山まで遠望できるすばらしい場所。往古の旅人の感極まる想いが伝わってくるようだ。
○防人見返りの峠:赤城まで見え、東山道から集められた防人も望郷の念に駆られたと思う。
○諏訪の桜並木:多摩ニュータウンの歩行者道が公園や団地、学校の中を抜けており、車を気にしないで満開の桜の下を歩くことができた。
3.◆古代官道らしさ(直線性、短絡性、古代史跡等)を感じましたか。 評価点(3.80)内訳AAAAAABBCC
A:起伏の強い多摩丘陵なので、短距離で現地を見れば直線性のない道だった。しかし、古淵から馬引沢までを見通すと、これだけの起伏がありながら見事な直線性があって凄いと思った。
A:丘陵地にもかかわらず谷筋と尾根筋を利用してほぼ直線のルートがとられていた。
A:境川団地、木曽団地、山崎団地と続く団地群を見ながらも、直線性を感じました。
A:境川から多摩川までの間の丘陵地域を巧みに最短に近い経路で越えている。
A:多摩丘陵の複雑な地形を縫うように、谷筋、峠道、尾根道をつないで、ほぼ最短距離で府中へ向かっている。特に、よこやまの道はすばらしい尾根道。なお、馬引沢に下るかどうかは議論のあるところ。
A:特徴が出ていた。しかし、古代は寂しい道だったのかもしれない。
B:よこやまの道や小野路宿に古代官道との関係を知ることができた。
B:−
C:直線性を感じました。
C:「小野」という古い地名、「防人見返りの峠」という名前が残り、天禄年間(972年頃)に武蔵の国司として赴任した小野孝泰により建立された小野篁を祀る小野神社で古代を感じた。直線性や短絡性は今の道ではたどれず、「感じる」には地形図を読みこなすことが必要と思われるがその能力もない。
4.◆沿道には魅力的な風景がありましたか。 評価点(4.40) 内訳AAAAAAABBB
A:小野路一里塚や防人見返り峠などはとても良かった。
A:正に満開の桜を楽しむことができた。幾多の山谷を越えるも疲れを忘れるほどの絶景だった。
A:
A:丘陵地を超える際の景色はいずれも素晴らしかった。
A:小野路の伝統集落の佇まい、東光寺からの大山までの遠望、よこやまの道からの多摩ニュータウンが眼下に広がる眺望など、非常にすばらしい風景が多数あった。
A:季節が良かったこともあり、良い景観が多かった。
A:−
B:桜が街並みを彩り、何処を歩いても綺麗で、尾根から眺める景色がとても魅力的でした。
B:一部開発が進んでいるが、丘陵地の自然と寺社、宿場等の歴史が残されていた。
B:野津田公園付近の桜並木、小野路の一里塚、東光寺の上からの眺め、防人見返りの峠からの眺めなど随所に魅力的な風景があった。
5.◆沿道には古道にふさわしい史跡がありましたか。評価点(2.40) 内訳BBBBBBBCCC
B:小野路周辺の町並みやお寺は古道にふさわしい風格があった。
B:古い神社、要所要所に道標等。
B:小野路宿や古道五差路、よこやまの道など史跡をたくさんたどることができた。
B:重要な史跡は少ないが、鹿島神社、小野神社、古道五差路などが点在している。なかでも「防人見返りの峠」はすばらしい命名。
B:道標や庚申塔など、古代からずっと道として使われていることが示される史跡があった。
B:−
B:−
C:美しい風景があって歩くのには楽しいが、史跡としては小野路宿の神社くらいしかなかった。
C:天禄年間(972年頃)に武蔵の国司として赴任した小野孝泰により建立された小野篁を祀る小野神社、「防人見返りの峠」があるくらいか。
C:あまり感じられませんでした。
6.◆沿道には古道や歴史の案内表示がありましたか。 評価点(3.80) 内訳AAAAABBBBC
A:小野路一里塚脇の案内板や古道五差路から防人見返り峠までの間の案内表示はとても充実していた。案内表示で興奮させられるなんて、驚きです。
A:「多摩 よこやまの道」の案内板は見ごたえがあった。
A:小野路付近には江戸時代の案内も含めて表示が詳しい。
A:史跡の案内板の他、よこやまの道や防人見返りの峠には古代東海道についての詳しい説明があるのは画期的なこと。
A:
B:小野路一里塚付近の案内板、よこやまの道の案内板。特によこやまの道の案内板は、多摩丘陵を縦断する時代の変遷によるいくつもの道が描かれていて興味深くわかりやすいものであった。
B:井出の沢の合戦、小野路の一里塚、山崎身代地蔵尊の由来、小野神社の由来、古道五差路、よこやまのみち案内板、防人見返りの峠など表示と解説があり、勉強になった。
B:古道に関連する案内表示は結構多かった。
B:−
C −
7.◆古道を活用したまちづくりの方向について。
○近世以降の街道のように沿道の建物は残っていないが、遠く古代の万葉の調べに想いを馳せながら、ここに古道が通っていたことを地域に伝えていくようなメルクマールをつくっていくようなまちづくりが良いのではないか。
○
○夕日に浮かび上がる大山の壮大なシルエットを、某悪趣味な寺院施設に台無しにされていたことが、大変残念でした。
○「よこやまの道」は、うまく遊歩道にしているし、「防人見返りの峠」は、その眼下に広がる多摩ニュータウンを見下ろすと、この辺りで唯一古代を切り取って残したような絶妙な配置になっている。今後のまちづくりの方向として示唆に富む。
○後半の雑木林の残る尾根道を歩き、たとえ両側に大学やNTといった開発がなされても、こうして自然と共に道を残すことは、いかに豊かなことかと実感した。
○
○相模国から武蔵国に入るコースとして見所も多いので、もっとこのルートをハイキングコース、散歩コースとしてアピールしても良いように思う。さらにニュータウンの中にもその記憶が残る整備ができると良いのですが。
○すでに多摩丘陵古街道探索会(たま古街道帥人会、歴史古街道団)の熱心な活動によって一帯の古道が丹念に現地調査されている。一部地区では、その成果をもとに散策路の整備やウォーキングイベントも実施されているが、そうした市民活動を行政が支援し、今後さらなる古道の保存復元や情報発信を期待したい。
○多摩ニュータウンは新住民の集合体なので、地域に愛着をもつ導入として、歴史を活用することをもっと進めるべきと思う。
8.◆その他、今回の企画や気づいた点などについて。
○どこも桜がきれいに咲き、春の息吹を感じさせるウォーキングでした。(H.Y)
○思わぬ所で地形、地質の解説を聞くことが出来て勉強になりました。(N.Y)
○地形図をもとに古代の道を推定してしまうという主催者やO氏に驚嘆する。(J.N)
○本当に素晴らしい一日でした。山手線の内側に住んでいるため、今日のような一日を幼児期の娘と歩くことができたことは非常に貴重な体験です。広い空に息を呑み、子供の目の高さで足元の小さい春をたくさん見つけることができました。どうもありがとうございました。(M.W)
○既に形のない古代官道について、その手がかりや歴史の記憶を街のそこここにたどる今回の企画の趣旨がやっと解ったような気がします。(M.F)
○このようなすばらしい道が東京都内に残っていたことに驚きました! 当会が今まで歩いた通称・鎌倉街道よりもはるかに古道らしい道です。往古の旅人の想いを想像しつつ、抜群の眺望を楽しみながら、歩くことができました。農村風情の東光寺側から、人工的な多摩ニュータウン側への転換もコントラストが鮮明でした。また、始めから終わりまで至る所で桜が満開だったのも、予想外の楽しみでした。片桐さん、今回もありがとうございました。(R.O)
○とにかく、今回は古道の雰囲気を味わえる区間に良い季節、良い天候で歩けたのでとても充実していた。途中、谷貝さんの地形学講座もあり、勉強になった。片桐さん、ありがとうございました。(Y.K)
■ 主催者より
古代東海道という地味な企画にもかかわらず大勢の参加者があり感謝しています。今回のコースは、前の2回と異なり、川を渡ったり尾根に登ったりと地形の変化に富んだコースでした。また、自然が残っており春という季節と重なって美しい風景が印象的でした。
東京都内で都心からの距離もそう遠くない場所に、このような道が残っていることが不思議です。また、多摩ニュータウンの尾根道は、私も今回初めて見つけた所で、古道としても現代の歩く道としても価値ある道だと感じました。(片桐拓朗)
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