旧街道ウォーク322★大山街道[その6]「南町田〜下鶴間〜海老名」活動報告
【日時・天候】2007年6月24日(日)11:10〜16:40 曇りのち小雨
【コ ー ス】 南町田駅 → 下鶴間宿 → 鶴間駅 → さがみ野 → 国分宿 → 相模国分寺跡 → ビナウォーク → 海老名駅(11km)
【参 加 者】 ○谷貝等、岩田清、大竹亮、片桐拓朗、梶川義実、加藤栄子、北橋伸一、児山文一、斎藤健一、清水俊哉、高梨健一、高橋謙、千川明、長澤純一、山川紀子、脇野真澄(16名) (○は主催者)
【概況説明】
今回は、梅雨空の下、南町田グランベリーモールを出発し長津田辻西側へ戻ってから大山街道を西へ向かいました。目黒の交差点、境川をわたり再び神奈川県内へ。下鶴間宿では最近公開されたふるさと館(旧小倉家)を見学、鶴間の駅を過ぎてからはほぼ平坦な台地上を進みました。この付近は南東へほぼ一直線の道が続き、かつての古代東海道と重なることがよくわかりました。望地付近で大山を間近に見ながら、目久尻川を渡って相模国分寺跡へ。温故館は老朽化のため閉鎖中でしたが、相模国分寺跡の礎石が立派に残っていました。歩く活動はここで終了し、ビナウォークを見学しながらの解散となりました。
【評価結果】 今回の区間は、幹線道路ではないものの、ほとんどが主要道路である旧道となっていました。歩行の安全性は歩道が少ないこともあり低い評価、沿道景観の美しさは沿道の緑や建物の評価が高く、やや高い評価結果になりました。沿道施設の魅力についての評価もやや高く、宿場や国分寺史跡が評価されました。また、歴史文化の表示については、自治体ごとに表示がかなり復活し、平均的な評価結果となりました。総合的には、旧道の雰囲気、史跡や景色が評価されたものの天候の影響で平均より少し低い評価点(2.45)に落ち着きました。
【参加者の評価結果】
1.◆歩行時の安全性(危険を感じないで歩けるか) 評価点(1.50) 内訳ABCCCCCCCCCC
A:車も少なく、危険はあまり感じなかった。
B:全体に歩道もあり歩きやすかった。
C:下鶴間宿付近は歩道のない区間が多く歩きにくかった。
C:歩道のない幹線道路区間が多い。
C:交通量の多い道には歩道がほしい。
C:交通量が多い割には、道路幅が狭く、歩道がなく歩きにくい箇所が目立ちました。
C:区間によっては歩道がなく、車の往来が多い。また歩道が狭い所も多い。
C:車道と歩道の境が白線1本の歩道が狭いところがあった。
C:歩道がなく危険を感じる箇所が複数箇所あった。
C:交通量がやや多いものの、歩道がないか、あっても狭い区間が多く、歩きにくい。なしくずし的に市街化した東京郊外部の典型的な状況といえる。
C:平坦な道であったが、雨のせいか、危険を感じる箇所が何カ所かあった。
D:交通量が多いのに、歩道がなかったり、あってもとても狭かったりと、歩きにくかった。
2.◆沿道景観の美しさ(目に入る風景は美しいか) 評価点(2.67) 内訳ABBBBBBBBCCC
A:随分と江戸を離れたなあ、という感じ。雨に打たれた紫陽花が綺麗だった。
B:歴史を感じる景観を楽しめた。
B:門構えの立派な屋敷や、広い庭の家が多くゆとりを感じた。
B:大きな家が多く垣根が美しかった。海老名付近では悪天候にもかかわらず大きな大山が見えた。
B:街道らしく農家の生け垣などは良かった。雨だったが、その分、緑はきれいだった。
B:下鶴間宿の沿道の生垣、石を積み上げた塀、板塀が美しかった。雨の中に咲く紫陽花が歩くのを楽しませてくれた。
B:一部土地利用が混在している地域があったが、全体的に街道周辺の緑が多く全良い景観が保たれていた。
B:地形の変化に乏しく、街並みも何となく雑然としている。
B:全体としては、無秩序に市街化が進行した郊外部であり、美しいとは言い難いが、鶴間宿の家並み、かしわ台付近の坂道などには風情があった。
C:街道の所々の雨にしっとりと濡れた紫陽花が景観を引き立てていました。
C:ほとんど幹線道路を黙々と歩くだけだったが、紫陽花、望地の公園から眺めた大山が美しかった。
C:全体的には普通。ただ、下鶴間宿の古くて大きな民家の多くが、門の位置を道路から下げたり、道路沿いの塀もとてもきれいに作りこんでいるのは印象的だった。
3.◆沿道の魅力施設(立ち寄りたい場所が多いか) 評価点(2.83)内訳AAABBBBBCCCC
A:下鶴間ふるさと館、大山阿夫利神社分院、相模国分寺跡など、街道らしさが出てきた。
A:下鶴間宿の宿場案内施設はなかなか良かった。相模国府があったことで、国分寺跡など見所は多かった。
A:歴史の重さを感じさせる鶴間宿のふるさと館や壮大な相模国分寺跡の遺構に加え、起終点の南町田グランベリーモールと海老名ビナウォークという二大商業施設が非常に楽しい。
B:下鶴間ふるさと館(小倉家住宅)、游相日記で渡邊崋山が訪ねたお銀さまゆかりの地と古東海道、逆川、国分寺等見所があった。
B:「下鶴間宿(ふるさと館)」や「史跡相模国分寺跡」、「ビナウォーク」などが良かった。
B:下鶴間宿ふるさと館、国分寺跡の他、風格のある神社が点在し立ち寄りできる施設が多かった。
B:神社やお寺が前半と終盤に集中していたが、それなりに立派である。
B:相模国分寺跡のそばの温故館。
C:国分寺跡などが良かったです。
C:下鶴間宿と国分宿に集中していたので比較的ゆっくり出来た。
C:下鶴間宿周辺と国分寺付近に限られる。
C:あまりなかった。
4.◆総合評価 評価点(2.83) 内訳ABBBBBBBBBCC
A:見所は少なかったが、旧道歩きを楽しめた。
B:道や施設とも歴史を感じられ、それなりに楽しめた。
B:前半(食事前)は沿道がとても美しく気持ちよく歩けた。
B:途中の台地上の道は単調であるが、前後に見所があった。
B:平坦な相模原台地が続き、郊外住宅地内の単調な道が多かったが、両端の川沿いの低地にある鶴間宿と国分宿の付近は変化に富んで史跡も多く、歴史の刻印を強く印象づけられた。
B:一直線の古代官道の部分と重複している。周りの区画を斜めに横切っていて便利(?)なことから、今も道として使われているのであろう。
B:下鶴間宿の風格ある民家と国分寺の史跡が残る国分宿に魅力が集中していた。鉄道駅から離れていることで開発を逃れ街道らしさが良く残されていた。
B:今回は、歩く直線距離は長かった。沿道全般に観るべきものがあったかというとそうではなかった。しかし、相模国府が置かれ、古東海道や鎌倉街道、八王子街道、大山街道などが集中していたため、その一帯では大変楽しめた。
B:遺構の少ない区間や歩道のない区間が多かったが、歩くことで大山街道らしさが感じられた。
B:特になし。
C:ほとんど幹線道路を黙々と歩くだけだったが、下鶴間ふるさと館(小倉家住宅)、游相日記で渡邊崋山が訪ねたお銀さまゆかりの地と古東海道、逆川、国分寺等見所もあった。
C:今回は山坂も無く、街道も道が残っており道探しの苦労はありませんでしたが、前回の道を探す面白さが思い出されました。
5.◆特に印象に残ったところとその理由(いくつでも)
○グランベリーモール:駅前から続くアウトレットモールは、非日常が日常の中にある妙。
○南町田グランベリーモール:前回同様にぎわっていた。まちなかの商店街を模した歩いて楽しむ次世代型商店街の面目躍如である。
○下鶴間ふるさと館(小倉家住宅):昔の写真で茅葺屋根の連なる下鶴間宿と大山街道の様子がよくわかった。
○下鶴間ふるさと館(旧小倉家住宅):入口あった明治4年頃の宿場の写真。
○下鶴間宿ふるさと館:歴史を感じられる施設であり、無料が魅力。
○下鶴間ふるさと館:薬の展示が面白かった。
○下鶴間宿:沿道民家の門構えが立派。
○下鶴間の阿夫利神社分院:大山の神社の分社がずっと東のこの地にあること。
○相模原台地上の一直線の街道:丘陵地から一変して台地上は一直線の街道になり、計画された格子状の道路と絶えず同じ角度で交わってまるでニューヨークのブロードウェイのよう。
○古い門に合わせて新しく作られた瓦屋根つきの塀(昼食前の家):旧家の思い入れが感じられた。
○鶴間の蕎麦屋:ちょうどおなかがすいた頃に出くわしたが、とても美味だった。8年前の古代東海道ウォークでも立ち寄っていたとは!
○数キロにわたる大山街道の直線区間:古東海道であったかもしれないということで、それを想像すると感動した。
○望地からの大山:望地の信号で突然大山が目に飛び込んできた。望地道下児童公園からの眺めも最高。
○望地:ここから大山が正面に望めた。地名の由来か。
○望地から望む大山をさえぎるように建つ海老名市役所:周辺の山並みを断ち切るような公共建築はいけません。
○渡邊崋山も通った古東海道:お銀さまの墓へ向かう途中、少し入った所に昔ながらの山道が残っていた。
○お銀さまゆかりの小園集落:「游相日記」に出てくる渡邊崋山も見た地蔵堂があるのに感激、案内の童も出てきそうな雰囲気だった。
○逆川:川を遡るようにして日本最古の運河を引いた大化の改新の頃の土木技術に感心。
○史跡相模国分寺跡:いつもながら規模の大きさと往時の権力に感心する。
○史跡相模国分寺跡:壮大なスケールがあり、今後の整備も期待。
○相模国分寺跡:広い空間が保存されていることに驚いた。
○相模国分寺跡:立派な礎石が印象的。
○国分寺:遠く天平時代に思いを馳せた。欅の大木、国重文の梵鐘も見事。
○大欅が偶然に芽を出したものだったのには驚かされた。ケヤキって強い木なのだな。
○大欅:迫力満点でした。
○ビナウォーク:最近の大型SCはどこも同じチェーン店ばかりで店舗に新鮮味はなかったが、空間構成が面白い。
○海老名ビナウォーク:駅前の細長い公園を囲んで約10棟の商業施設が並んでいる。時間消費型のフェスティバルマーケットプレイスの典型例である。中央のミニ国分寺七重の塔がユニーク。
○海老名の七重の塔模型:以前に来た時は公園の中にこの塔だけがあった。実は塔の周りがあとからショッピングタウンになった不思議な空間。
○ビナウォーク内の相模国分寺七重の塔:かつて訪問したときはまわりに何もなく、うならせるものがあったが、今はミニチュアの塔が建っているに過ぎないように感じてしまった。少々滑稽。もう少し展示や表示により、いかに巨大な建築物が海老名にあったのかを説明して欲しい。
○七重の塔:ビナウォークに有った縮小された七重の塔が、周囲がカラフルな建物のせいでしょうか、存在感が少しかけていたものの印象に残りました。
○模型七重塔:ビナウォークに三分の一の精巧な模型が復元されていて、雰囲気がよい。
○海老名駅周辺:大山が近くに感じた。
6.◆江戸時代や街道らしさを感じたところとその理由(いくつでも)
○下鶴間宿の小倉家・長谷川家:昔の写真と見比べて江戸時代を想像できた。
○旧小倉家住宅:江戸時代は藁ぶき屋根だったでしょうが、当時の商家の様子がうかがえる。
○下鶴間宿ふるさと館:歴史を感じられる施設であり、無料が魅力。
○下鶴間宿ふるさと館:街道の辻に旧家を保存開放し、歴史を展示しているのが好ましい。管理者には、街道文化の振興(街道ウォーキングマップの作成、街道ウォーキング大会の開催など)に頑張ってもらいたい。
○下鶴間宿の宿場案内施設:建物は新しいが、こういう昔のものを再利用した案内施設はやはり必要だなと思った。
○下鶴間ふるさと館:旧家をうまく活用している。縁側に腰掛ける感じが良い。
○下鶴間ふるさと館(旧小倉家):江戸時代末期の建物であるがよく雰囲気が残っている。
○下鶴間ふるさと館:江戸後期の切り絵図や明治初期の写真が展示されていて、少し前の日本を感じることができた。
○下鶴間宿:旧家が多く当時を偲ばれてよかった。
○下鶴間宿の町並み:旧家の門構えが立派でその家も庭の手入れが行き届いていた。
○旧家の門:どの辺りか忘れましたが、街道沿いに旧家の立派な門が大切に遺されており、昔を偲ぶ事が出来ました。
○古東海道案内版:まさにここから東海道という臨場感。
○相模国分寺跡:古代東海道に面した壮大な遺構が発掘整備されつつあり、往古のロマンをかきたてる。前回立ち寄って館長さんとお話しした温故館が、閉鎖されたのは残念。
○相模国分寺跡:すばらしい遺跡であるが、わざわざ訪れる人は少ないのでは。
○大欅:まさに歴史。
○大欅:立派。
7.◆沿道の歴史文化の表示について(史跡や街道について適切に解説がありましたか)評価点(2.45)内訳ABBBBBBCCCC
A:横浜市。町田市では表示が少なかったが、この区間に入って大和市と海老名市による表示が復活した。史跡だけでなく、街道の解説も多かった。道筋を示したマップなどがあればもっといい。
B:それほど距離をおかずに、表示がそれなりにあり、解りやすかった。
B:大和市は全国の大和という名前の市町村で構成する「まほろば連邦」加盟国の特産の石で大山街道の案内標石を随所に配置しているが、いいアイデアだ。国分寺薬師堂の「尼の泣き水坐像」の解説がほしかった。
B:大山街道あるいは矢倉沢往還の案内板がいくつかあった。自治体によって表記が異なっている。
B:大山阿夫利神社分院の新田軍の行軍経路は、ややわかりにくいものの、存在は立派。大和市内は、新しい道標がたくさんあったが、表示の質は低い。五貫目道祖神の道標は、元の場所か少なくとも下鶴間ふるさと館に移すべきで、現在の位置では問題。
B:逆川の由来の石碑やその詳細な案内板など表示は良かった。
B:史跡には案内板があったが、もう少し詳しく記述されていると良かった。
C:特に丁寧とも感じなかった。
C:あまりなかった。
C:適切な説明が乏しい箇所や、読めない道標らしき石柱も有りました。赤坂の交差点に不動明王が乗った大山道標、文字は崩れ落ちて読めなく、何故大山道標の上に不動明王が乗っていたのか、疑問に感じました。
C:大山詣の目的があまり記載されていない。また、移動された道標について、元の位置や向きに関する解説がほしい。
−:道標は方向を考えて移設してほしい。
8.◆今回の企画についての感想など(自由記入)
○あいにく小雨が一日中降り続きましたが、逆にこの季節にしては涼しく、下鶴間宿、渡邊崋山が訪ねた小園、古東海道、逆川、国分寺等見所も多く、主催者の言う「歴史を辿るウォーキング」を満喫できました。(J.N)
○事前調査をして見所説明、毎回感謝しております。(K.I)
○雨の中の行程であったが、事前によく調査されており、スムーズであった。谷貝さん、大竹さん、本当にご苦労さまでした。(K.T)
○雨のため気温は低めであったが、眺望がきかないことが残念だった。何度か、川を越える機会があったが、対岸越しに大山があまり見えず残念だった。(S.K)
○大山が大きく見えた。随分と江戸を離れた。特別なものはあまりなかったが旧道の面影が多く残り、あいにくの雨ではあったが、紫陽花が美しく、歩いていて楽しかった。ありがとうございました。(M.W)
○スタートから降り出した雨、途中で止みそうで、止まず、残念でした。目指す大山がだいぶ間近になってきたのが嬉しく思いました。お銀様ツアーも参加したかったですね。(N.Y)
○田園都市線沿線の開発住宅地から環境が一転した。旧道の道筋がかなり残っていたと思う。ほとんど全区間、小雨模様だったのが残念であった。しかし、この雨天でも大山が見えるということは、いよいよ近くなった証拠。(T.K)
○街道は歩いて楽しむものだと思った。大山が間近に見え、いよいよの感じになってきたので今後が楽しみ。(Y.K)
○傘が必要な一日だったがカンカン照りより体力の消耗が少なく最後まで元気で歩けた。国分寺薬師堂からの大山はとても大きく見え、うれしくなった。雨宿りでの地図を広げての意見交換(私にとっては講義)はとても勉強になった。途中で買ったプラムは甘かった。街道歩きの楽しみのひとつ。(E.K)
○今回のコースの大半は古代東海道(後期の延喜式駅路)と推定され、当会でも8年前に歩いていますが、今回は鶴間宿の風情ある佇まいや、海老名ビナウォークの賑わいなど、新たな体験ができました。また、帰路のバスツアー(歩いたコースを1日1本の夜の路線バスで戻る!)もユニークで、企画した谷貝さんの面目躍如でした。次回はいよいよ大山の麓まで歩きます。皆さんご一緒しましょう!(R.O)
○最初の企画書にあったとおり、今回は1300年くらいの長さにわたって歴史を楽しむ街道歩きで、大変有意義だった。(T.S)
■主催者より
出発と同時に降り出した雨がなかなか上がりませんでしたが、何とか海老名まで到達できました。雨が強くなってきましたので後半は街道に沿って早足で目的地に向かいました。国分宿周辺などもう少しゆっくり見られるとよかったかと思います。耐震の問題で温故館に入れなかったのは残念です。今回は、これまでの丘陵地のアップダウンの多い蛇行したルートから比較的平坦な台地上を一直線に進むルートに変わり周囲の景観も変化してきました。いよいよ大山も間近に見えてきました。馬入川(相模川)を渡りあと2回で大山阿夫利神社到達を目指します。海老名からの続きは9月開催を予定しています。夏場の8月は、これまで歩いたルートを路線バスで辿り、当日疑問が生じた場所の確認や当日訪問できなかったところなどを巡りたいと考えています。(谷貝 等)
▲かしわ台付近の民家 ▲ふるさと館での検討会
▲国分寺薬師堂 ▲赤坂道標
▲相模国分寺跡 ▲相模国分寺跡
▲温故館 ▲柏ヶ谷付近
▲小園の古東海道 ▲南町田駅前にて