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旧街道ウォーク320★大山街道[その5]「江田〜長津田宿〜南町田」活動報告

【日時・天候】2007513日(日)11:1016:50 曇りのち晴れ
【コ ス】江田駅 竹下地蔵堂医薬神社青葉台恩田川長津田宿馬の背→一里塚(大塚)→南町田駅(10km
【参 者】 ○谷貝等、磐田利江子、大竹亮、片桐拓朗、加藤栄子、北橋伸一、斎藤健一、清水俊哉、高橋謙、古里実、山川紀子、脇野真澄(12名) (○は主催者)

【概況説明】
 
当日は新緑の曇り空の下、江田駅から住宅街をぬけ、鶴見川への谷をおりて市が尾・竹下地蔵堂へ向かいました。その先の旧旅籠「綿屋」を見て、鶴見川を渡ったあとは藤が丘地区へ。このあたりは宅地造成により旧道が残っておらず、地形に沿って旧街道ルートを推定しながら恩田川の谷へ下りました。
 長津田宿は道路拡幅が進行中で、旧道の面影が消えつつありましたが、その先のつくし野地区では、未舗装旧道や田園風景が残る立派な農家、都県境の旧道「馬の背」からの眺望に一同感動しました。
 最後は町田街道交差点を過ぎ、鎌倉街道上道沿いの一里塚を見て終了となりました。今回は、旧街道が消えている区間でも、断片的な道や地形をつないだ旧街道を辿ることができました。

【評価結果】
 
今回の区間は、主要幹線道路と絡みながら、前半は住宅地内の道路、後半は旧道が一部残る区間でした。
 歩行の安全性は平均点、沿道景観の美しさはかなり高い評価になりましたが、これは、田園風景や丘陵からの眺望が評価されたためです。
 一方、沿道施設の魅力についての評価は低くなりましたが、これは見所となる建物等が少なかったことが原因です。
 また、歴史文化の表示についても今までに比べて少なく、評価は残念ながら非常に低い結果となりました。
 総合的には、旧道部分の雰囲気や景色が評価されて、やや低い評価点(
2.40)に落ち着きました。

【参加者の評価結果】
1.◆歩行時の安全性(危険を感じないで歩けるか)評価点(2.60) 内訳BBBBBBBBCC
B:車を気にしないで歩けた。
B:旧道を探すコースであったためか、それほど車は多くなく安全に歩けた。
B:歩道の無い部分は、自動車の交通量の少ない箇所が多かったので、比較的安全だった。
B:車の多い道には歩道があり比較的安全に歩けた。
B:自動車通過が多く、危険な箇所もあったが、概ね歩きやすかった。
B:幹線道路にはほぼ歩道があったし、住宅地内は交通量が少なかった。ただ、246は歩道も狭く地域を分断していた丘陵地内の林の中の道はとても快適に歩けた。
B:歩道がない区間が多かったが、自動車の交通量は少ないので特に危険は感じなかった。開発地区ではきちんと歩道が整備されている。
B:区間によっては歩道がなく、車の往来が多いところがある。
C:歩道が少なく、道幅も狭いところが多かった。
C:幹線道路を歩くことが多かったため、交通量も多く、かなり危険を感じた。

2.◆沿道景観の美しさ(目に入る風景は美しいか)評価点(3.20) 内訳AABBBBBBBC
A:前半は住宅地の景観が整っており、後半は緑が多く残り、尾根の上からの眺望もよかった。長津田以降、部分的に往時を彷彿とさせる旧道風景が出現した。
A:遠景や住宅、緑地など概ねよい。
B:長津田の未舗装区間や、つくしの地区などの田園、里山の風景は美しい。
B:住宅地開発されている部分は、整った街区に良好な戸建住宅が並んでいたので良かった。交通量の多い246沿いは、どうしても良くはないが、そのことは脇に置いての評価です。
B:道にアップダウンがあり、それぞれの景観を楽しめた。
B:国道246号線沿いは美しさに欠けるが、馬の背など美しい景観もあった。
B:起伏が多い行程だった。坂の下、途中、上からの景観をそれぞれ楽しんだ。
B:整然とした開発地区と河川沿いの田園風景の対比が面白かった。国道246号沿いは、大型SCとマンション等が建ち美観に欠ける。
B:幹線道路は厳しいが、つくしの地区の田園風景は美しかった。
C:竹藪等が残っており、情緒のある箇所もあり、高台から望む景観は良かったです。

3.◆沿道の魅力施設(立ち寄りたい場所が多いか)評価点(1.80)内訳BBBBCCCCCC
B:「旅籠綿屋」や「田中屋」、「馬の背」などが良かった。
B:改変されたところも多いが、要所要所に遺構があった。
B:新興住宅地であり、史跡や老舗商店が少なかったのが残念。長津田宿も道路拡幅ですっかり変貌してしまった。最後のグランベリーモールは非常に楽しい商業ゾーンを形成している。
B:寺社や道標などいくつかあり、多くはないが適度。
C:旧街道の面影を残す建物が少なくなっている。
C:特に立ち寄りたいと思う施設はなかった。
C:印象に残る場所はそれほど有りませんでした。
C:かつては山の中のとても寂しい一帯だったことを考えれば、立ち寄りたい施設が少ないのもしようがない。
C:あまりなかった。
C:−

4.◆総合評価 評価点(2.40) 内訳BBBBBBBCCC

B:前回同様、今回もすずかけ台駅近くの馬の背など、地形上の変化がある地点の景色が印象的であった。都県境など行政界は景色も変化していておもしろい。
B:道や施設ともそれなりに楽しめた。
B:全体として丘陵を越える複雑な道筋であるが、戦後の多摩田園都市開発により旧状をとどめていないのが残念。川沿いの低地や長津田以降の部分は、歴史を感じさせる雰囲気が残り、後半に向けて盛り上がりがあった。
B:幹線道路区間はあるもの、旧道らしきルートもありよかった。
B:国道246号線沿いは閉口するが、ポイントが点在し楽しかった。
B:井桁で組まれた綿屋の外見やナマコ壁の民家など珍しい建築物が見られたのがよかった。
B:新規開発地区が多く、住宅地が広がって沿道に立ち寄りたい施設・お店などが少なく、歩く地域としては魅力に欠けた。
C:所々開発で旧街道が途切れていたのが残念でした。また、開発によって移動、移植せざるを得なかった旧道の物、これから移動させられる物、位置が変わると旧道の面影も変わり、開発の波を感じました。
C:今回は都心から離れた郊外を歩いたが、宅地開発が進み、期待していた田園風景が乏しかったこと、幹線道路を歩くことが多かったことが残念だった。
C:−

5.◆特に印象に残ったところとその理由(いくつでも)
○江田北地区の新興住宅:道路から急で長い階段を登る一戸建て住宅の多いこと!

○市ケ尾地蔵堂
○旅籠綿屋:明治まで営業していて今に残された大山街道の貴重な遺産である。
 
○初めて畑(背の低い収穫しやすい)の柿の木とやわらかい葉を見た。

○大難の辻の大木と横にある仏像(石)。
○246バイパスの光景:沿道住宅地と無関係な通過交通のための幹線道路であり、その姿勢がかえって潔い。

○恩田地区周辺:国道246号線に分断された旧道部分は墓や石塔があり、納得できた。

○長津田の横浜線高架橋:明治大正期のクラシックな石積橋梁と戦後のモダンデザインの橋梁が並んでいて面白い。
 
○長津田下宿の常夜燈:道路拡幅で周りが何もなくなってぽつんと残る姿。
 
○大石神社:両側のもみの木が見事だった。もみというとクリスマスツリーの木と思っていたが違和感はなかった。
○大石神社:旧道からかなり上った場所にあり、かつての眺望のすばらしさは想像にあまりあるが・・・現在は・・・。

○つくし野地区の未舗装区間:旧大山道を偲ばせ、緑の中の木漏れ日と風が心地良かった。
 
○つくし野の旧道:畑の風景と旧道が似合っている。
○つくし野の農家:国道246号のすぐ裏手に立派な農家が残っていることに驚いた。この付近は手入れがなされていて景観が非常に良い。
○ナマコ壁の美しい蔵のある家(つくし野)

○マクドナルド第二駐車場に残る旧道:246バイパスに分断された尾根道の片鱗がファーストフード店の一角に残るとは。
○あちこちに残る旧道の名残:まちや道路の開発により、江戸時代の大山街道が新しくつけ変わっていくその名残があちこちに残されていて、過去を探る鍵となっている。
○馬の背:地形の変化と景色の変化が大きく、都県境であることも印象に残った。
○馬の背:物凄い高低差があるのに、背の部分のなんと狭いことか。高い山の稜線を歩いているようだった。
○馬の背から見える複数の巨大マンション:全体の眺望をさえぎるような巨大建築物が、近くにも遠くにも、あんなにぼこぼこ建つような土地利用規制で良いとは思えない。
○馬の背:橋から見下ろす景色が素晴らしく、ゴール前のいいタイミングであった。
○馬の背:成瀬〜町田の宅地開発を一望する景色は圧巻だった。
○馬の背:狭い崖上からの眺めがすばらしかった。
○馬の背:見晴らしがよかった。
○馬の背:目の前に開けた町田方面の景色が印象的。
○馬の背:見晴らしが良くて、眺望がとても印象的でした。
○すずかけ台の馬の背:旧国道がこんな丘の上を通っていたこと。またここからの眺め。
 
○南町田のグランベリーモール:駅前からいきなりショッピングモールが始まり、若者がにぎわう街をうまく演出している。
○グランベリーモール:巨大なショッピングセンターであるが、建物の中ではなく、オープンモールで街の商店街のようにしてあり、歩き回るだけでも楽しい。時間消費型SCの成功例。
 

6.江戸時代や街道らしさを感じたところとその理由(いくつでも)
○旅籠綿屋:2階の客室を支えるためなのか、その大きな桁が印象的。
○旅籠綿屋:旅籠の雰囲気が残る。
○旅籠綿屋:歴史を感じ、風情がある建物であった。
○旅籠綿屋:新興住宅地の中にどっしりした旧家が残る。梁が桁から飛び出した構造が力強く美しい。
○田中屋:想像力をかき立てる建物であった。
○一里榎:樹齢600年の貫禄がありました。
 
○住宅地に点在するお墓
○片町地蔵堂:今も地元の人たちに大切にされていることが伝わってきます。

○長津田町周辺:蔵のある立派な農家が残っていた。
○長津田宿の常夜灯:道路拡幅で反対側へ移転になるとのことだが、できれば同じ場所に残してもらいたいもの。
○長津田下宿常夜灯及び上宿常夜灯
○常夜灯をみて当時の明るさはどの程度だったのかと考えた。
○長津田宿:道路拡幅で大きく変貌しつつあるが、今回の区間の中では、街道らしさが残されていた地区である。
○突然現れる土の道(旧街道)は貴重。
○古い民家と土蔵:南町田に近づいたところで、こちらの道こそが大山街道ではないかと多くの参加者が一致した道の脇に建っていた。非常に手入れされていた。
○馬の背の道:非常に狭い尾根道であり、以前の道路敷の痕跡も残り、西側へはるかに見渡す眺望もすばらしい。
○鎌倉道の一里塚:周りが市街化しても以前の姿で残っており、前の道が旧道であることを伝えている。

7.◆沿道の歴史文化の表示について(史跡や街道について適切に解説がありましたか)評価点(1.20)内訳BCCCCCCCDD
B:常夜灯や寺社には案内表示があった。
C:常夜灯は解説がしっかりしていたが、それ以外の部分にも解説がほしい。
C:表示が少ないので、物足りなかった。
C:解説はありましたが、もう少し詳しい説明が欲しい所もありました。
C:長津田・南町田付近を除いて表示は少なかった。特に多摩田園都市の開発地内ではほとんど見かけない。旧状をとどめないからこそ、記録表示が必要なのでは。
C:殆どなかった(気がつかなかった)
C:あまりなかった。
C:歴史的なものがあまり残っていなかったので、表示がほとんどなかった。
D:歴史文化の案内が、これまでで一番少なかった。長津田宿では道路拡幅などで、さらに少なくなりそうで心配。
D:案内が少なすぎた。

8.◆今回の企画についての感想など(自由記入)
○自然地形が残る部分を手がかりとして、旧街道ルートの探索は興味深かった。8月の補遺バスツーでは、これを検証し、まとめると良いのではないでしょうか。(M.F)
○今回のエリアは、住宅地開発でかつての大山街道が消えている箇所が多かった。その反面、川崎国道事務所などの資料に示された旧道とは違う、というより本当の旧道はこちらではないかというような道がたくさんありそうで面白かった。(T.S)
○消失している区間を捜しながらのウォークは大変興味深く、楽しい1日を過ごせました。事務局の皆様ありがとうございました。次回の大山街道も楽しみにしています。今後ともよろしくお願いします。(K.T)
○前半は造成された多摩田園都市で旧道の面影を探すのが一苦労でしたが、後半は旧状を残す部分が多く、田奈の斜面緑地や墓地付近、長津田宿の常夜灯や大石神社、その後の林の中の旧道や尾根越えの道、馬の背の尾根からの眺望など、どんどん盛り上がっていきましたね! そしてついには鎌倉街道まで登場して終了となりました。今回は「旧道を探す企画」とあったのですが、まさかこんなに不明箇所が多く、また江戸時代の道、明治期の道、その後の道の変遷も多いとは思いませんでした。谷貝さんから出される新説は刺激的で、それを歩いて実地検証していくのはとても楽しかったです。中には、メンバーからその場でさらに対案が出され、検証は8月の補遺集にゆだねられる場面もありました。谷貝さん、ありがとうございます。次回は、南町田グランベリーモールから海老名ビナウォークへ歩くという、ショッピングセンター巡りのような企画ですが、皆さんぜひ一緒に歩いて歴史風土を感じとりましょう!(R.O)
○国道246号線による行程の切断が残念だったが、恩田地区で旧道が残されていることやつくし野地区の未舗装区間、馬の背など見所も多く楽しむことが出来た。(S.K)
○現代の幹線道路と絡まりながらも、地形的に旧道ルートを推定できたのがよかった。高低差は重要な要素だと思う。(T.K)
○事前調査が行き届いているので楽しい一日を過ごせました。お昼のお店も満足でした。和菓子屋での休憩は暑さと疲れを取るのにとてもよかった。

一里塚付近のこと(当日とその後のメール)では、都市開発が沿道をだいぶ変えてしまっているのだなあと思った。(E.K)

○旧街道を推測しながら、探しながらいつもとは違った歩き方を楽しめました。(N.Y)
○江田〜南町田までアップダウンが激しく、危険な幹線道路が多い中をよく歩きました。青葉台地区・恩田地区・つくしの地区ではコーディネーターの事前調査に心意気を感じました。大山もだんだん近くなり、今回こそは踏破したいと思っています。ありがとうございました。(M.W)

■主催者より
 古い地形図をたよりに、江戸時代の旧道を探すウォーキングを楽しみました。一人で歩いている時には気がつかなかった発見が参加者の皆さんから次々と出てきて大変盛り上がりました。馬の背手前のマック駐車場となっている街道跡は、国道246号の切通しにより寸断されていることが明らかにわかり、当時のイメージがかなり明瞭になってきました。これを見ると青葉台から恩田川に降りる途中の駐車場の通路が国道246号で寸断されていたのも同様ではないかと思われます。
 さて、疑問を残しつつも、次回は南町田の鎌倉街道一里塚から出発して海老名を目指して真っ直ぐな道を歩きます。境川を渡ると相模の国に入り、丘陵地から平坦な相模原台地上に移ります。次回は比較的平坦で真っ直ぐな道で、立ち寄る施設も少ないので、距離を稼ぎたいと思います。(谷貝 等)

←市ヶ尾竹下地蔵堂前にて

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