大山街道ウォーク・ホームへ

旧街道ウォーク316★大山街道[その1]「赤坂御門〜三軒茶屋」活動報告

【日時・天候】2007127日(土)11:1016:40 晴れ

【コ ス】 赤坂御門→豊川稲荷→牛鳴坂→青山→渋谷→道玄坂→大坂→大橋→池尻稲荷神社→三軒茶屋(約7km

【参 者】
 
○谷貝等、岩田清、大竹亮、梶川義実、片桐拓朗、加藤伸子、児山文一清水俊哉、高梨健一、長澤純一、仲田光二、古里実、水谷晴子、*本橋秀世、谷貝葉月☆、脇野真澄、脇野陽子(17名)(☆は懇親会より参加 *池尻の旧道にて参加)

【概況説明】
 
大山街道(矢倉沢往還)の第1回は、冬晴れの中、都心の赤坂御門・石垣前をスタートし青山通りを一路西へ向かいました。豊川稲荷に立ち寄った後に、旧道区間である牛鳴坂を上って再び新道へ合流。南側に高橋是清邸跡を見ながら青山地区へ。現代建築の梅窓院に立ち寄ったのち、表参道の街並みを抜け人で賑わう宮益坂を下り、渋谷川を渡って道玄坂へ。ここから玉川通りに入り、旧道の残る大坂の急勾配を下り上目黒氷川神社へ詣でました。さらに工事中の大橋JCを左手に見ながら目黒川を渡り、池尻の旧道を進みました。旧道沿いの池尻稲荷神社で小休止ののち三軒茶屋へ到達。最後にキャロットタワー展望台から大山+かすかに見える富士山を望み終了となりました。

【評価結果】
 
今回の区間は都市の広い主要道路の区間でしたが、、歩行の安全性と沿道施設の魅力については、比較的高い評価になったものの、沿道景観の評価は低い結果となりました。これは、玉川通り上の首都高速が景観を阻害し、快適さを下げているためと思われます。また、歴史文化の表示については低い結果です。総合的には平均的な評価点(3.0)となりました。

【参加者の評価結果】

1.◆歩行時の安全性(危険を感じないで歩けるか) 評価点(3.73) 内訳AAAAABBBBBC
A:都心でもあるし、主要幹線道路でのあるので、歩道もしっかりしていた。旧道も含めて。
A:広い歩道があり、旧道区間も自動車の交通量が少なく安全である。
A:概ね、歩道が整備されている。
A:特に危険な場所はない。自転車が通る所もあるが問題ない。
A:幹線道路部分は歩道があるし、旧道部分は車が少ない。ただ、沿道が賑わっているので通行人が多く、歩道がやや混雑している。
B:特に危険に感じたところは無かったと思います。Aに近いB。
B:渋谷までは、歩道も広く快適に歩けた。
B:ほとんど歩道が整備されており、危険は感じなかった。池尻付近の旧道は歩道が無くても車が少なくのんびり歩けた。
B:危険ではないが、特に渋谷駅界隈は歩行者多く歩きづらい。
B:旧道以外はすべて歩道があるので、安全に歩けた。また、旧道は自動車の交通量が少ないので歩道の無い旧道でも安全だった。ただ、一部歩道幅員の狭いところがあったので、それは少々気になった。
B:246号には歩道があって安全だったが、旧道区間は歩道がなく、時々危険を感じた。 
C:自動車に対する危険性はないが、三軒茶屋に近づくに従い自転車との競合があった。歩道幅員は狭い。

2.◆沿道景観の美しさ(目に入る風景は美しいか) 評価点(2.45) 内訳AABBBBCCCCC
A:赤坂見附から渋谷までは、建築物の質の高さや緑の程度など今の日本の都市風景としてはとても良い。ただし、その先は頭上に首都高速が走り、沿道の建物の質も多少落ちる。だけど、その前が良いので、今回のコース全体としての評価は高い。

A:青山通りは広い道幅に建物が揃って並び、非常に美しい(特A)。しかし、玉川通りは高速道路が高架で頭上を通っており、うっとうしい。

B:高台の尾根道が主ですが、旧道はかなりアップダウンがありそれなりに楽しめた。
B:地形に上下があり、見通しのきく場所が時々現れる。
B:絵画館に続く並木道は美しかったが、今回の区間の魅力は都市化された美しさである。

B:沿道のオフィスビルのファサードを楽しんだ。しかし、旧街道としての景観は非常に少ない。
C:赤坂御門から青山一丁目付近は水や緑が多くゆとりを感じる。一方、渋谷〜三軒茶屋間は高速道路が上を塞ぎ圧迫感がある。

C:都市化された風景があまり好きでないので。
C:近代的なビルもあるが、全体を通して美しいとは言えない。
C:美しいという感覚はなかった。
C:道玄坂から先は、首都高があるため景観が美しくない。騒音もひどかった。

3.◆沿道の魅力施設(立ち寄りたい場所が多いか) 評価点(3.55)内訳AAAABBBCCCC
A:見所も多く興味深い古刹も多く、市内に入って家並みを考えた街づくりにも共感できた。
A:神社、仏閣も多く興味深く楽しめた。
A:建築に関心のある者にとっては、見所だらけの沿道です。
A:青山梅窓院は青山幸成の墓・竹参道と近代のギャップが良い。
A:史跡はそう多くないが、華やかな都会的刺激に満ちている。赤坂御門跡や豊川稲荷、善光寺、氷川神社などは立派。立ち寄りたいショップは無数にある。
B:青山周辺、池尻周辺には、立ち寄ってみたいお店が多かった。
B:表参道付近など洒落たお店が立ち並び、ちょっと裏手に行くと細い路地に隠れ家的なお店がある。
B:今回の区間は古いものがあまり残っていない。現代を楽しむ場所になっている。
C:神社仏閣、道標がそこそこあったが、総じて見所は少ない。
C:特段ない。沿道から入った横町は魅力的だったが。
C:旧街道らしい神社、寺があり好ましいが、道標などの数は意外と少ない。
C:豊川稲荷、梅窓院、善光院、御嵩神社、上目黒氷川神社、池尻稲荷と意外に神社、寺が多いが、魅力という点では今ひとつ。

4.◆総合評価 評価点(3.00) 内訳AAABBBBBCCC
どんな場所も改良すべき点はあります。ただ、今の日本の沿道の中で、赤坂見附から渋谷までの区間を超えるところはそうそう無いので、高く評価します。
A:広幅員の青山通り、玉川通りとして、都会的魅力に満ち溢れる東京の第一級のストリートである。江戸時代の主要街道がこのように役割を発展させているのが面白い。ただ、玉川通りの首都高はいただけない。
A:
B:広幅員の道路に沿って安全に都市的な町並みを眺めながら楽しく歩けた。
B:まちなかでごみごみではあるが、大坂の壮大感や牛鳴坂の登坂性は体感良好。
B:都心部の広い道路であるが、大山街道という目で見ると一部に旧道ルートも残り、つながりがわかる。
B:牛鳴坂、道玄坂、大坂など、坂を楽しめました。旧街道の面影が少ないのは少し残念。
B:現代の楽しみの場が多く、旧道の楽しみは少ない。
C:街道としては魅力に乏しかった。
C:街道らしさが殆どなかった。
C:首都高が上部にある街道は、騒音もひどく、歩いていてあまり快適ではなかった。

5.◆特に印象に残ったところとその理由(いくつでも)
○赤坂御門跡:ここから大山街道が始まるという感じ
 
○赤坂見附付近:お江戸の見附という場所から眺める地形の豊かさに、改めて感心した。お堀端の水と緑、石垣、優れた建築群、きれいな道路、どれもたいしたものです。
○豊川稲荷、池尻稲荷: 稲荷神社は江戸の商人たちが愛した神様という雰囲気が今も残っている。

○池尻稲荷:三軒茶屋の名前のおこり
 
○薬研坂再開発:旧道牛鳴坂上から谷底で工事中の再開発地区が見えるのが、東京の地形の複雑さと旧道が尾根道であることを実感させてくれる。

○橋是清邸跡:こんな所にあるとは知らなかった。銅像も見て、「だるま宰相」というあだ名が付いたことがよくわかった。

○高橋是清公園:緑豊かで都心のオアシス。奥までゆっくり歩きたかった。
○梅窓院:近代的になっているのに驚いたのと青山家累代の墓で郡上藩主青山家の墓誌を発見、篠山藩主青山家との関係を明らかにできた。
  
○梅窓院:参道の心地よさ、古い山門とほとんどガラスでできているような本堂。そういったものが、過去と現代をつなぎ、見事な調和を作っていた。墓地を囲むフェンスにも十分なデザインが施されていた。
  
○青山の梅窓院:お寺とは思えない近代的建物。今後、都心でお寺が生き残る方法か。
○青山市街地アパート:2つの旧公団住宅が青山通りに並び、1階にはお店が入って賑わいを創っている。ヨーロッパの都市構成原理を忠実に再現している。
○御嶽神社:宮益坂の名前の由来となった神社がビルの谷間に厳然とある。

○宮益坂御嶽神社:石段に座って休んでいたら「座るな」と言われた。旅人には厳しかった。

○坂(牛鳴坂、宮益坂、道玄坂、大坂):東京の地形を実感できた。特に大坂は大変な勾配で、荷物を持って登るのは大変だったであろう。
○大坂:急斜面に驚嘆。


○大坂:首都高中央環状線の工事で地下から上空まで立体的な利用がなされるが、大坂の旧道区間を降りて大変な旧坂であったことを実感した。祖父が畑でとれた野菜を築地にリヤカーで運ぶのに大坂を上がるのが大変だったと言っていたことを思い出した。
○上目黒氷川神社:梅がきれいに咲いていた。

○上目黒氷川神社から見た首都高のジャンクションの工事:風景は壮大で新しい街道の絵姿か?

○ジャンクションの工事現場:らせん状道路の断面が興味深かった。現代の道路を象徴しているかのようだった。
○大橋JC工事:街道ではないが、あのような構造物が道路とは。また、街の真ん中に出現することの驚き。
○大橋ジャンクション再開発:玉川通りと山手通りの立体交差に加え、地下の高速環状線から高架の高速3号線まで巨大なジャンクションを創るダイナミックな工事風景に驚いた。断片的に見え始めた形も、バベルの塔のようだ。
○池尻の旧道:商店街やアパートなど昔の東京の風景がひっそり残る。コンバージョンでお洒落な店が増えつつあって要注目。

○池尻稲荷神社周辺:国道246から一本入ったところは、旧道の面影が残り魅力的。

6.江戸時代や街道らしさを感じたところとその理由(いくつでも)
○赤坂御門石垣:じっくり見たのは初めてだが、立派な石垣が残っていることが嬉しかった。
○江戸城赤坂御門:立派な石垣や掘割が江戸の片鱗として残り、街道の出発点にふさわしい。
○赤坂・大坂・池尻の旧道区間:全て傾斜地であり、当時の街道が左右に曲がりながら傾斜を越えて行ったことが示されている。
○旧道の牛鳴坂、道玄坂、大阪:それぞれに街道の雰囲気感じました。
○梅窓院:青山氏ゆかりの名刹であり、モダンに建替えたデザインも品格があってすばらしい。
○青山の地名:徳川家康から広大な屋敷を賜った青山氏にちなんだ地名が江戸を感じさせる。
○沿道の神社仏閣:道標や庚申塔は殆どなかったが、神社仏閣の存在は街道らしさを感じさせた。
○宮益坂と道玄坂:渋谷川の谷を挟んで2つの坂道が対峙し、地形を実感できる。
○大坂:急勾配がそのまま残され、斜面緑地などもあったので。
○大坂:川へ向かった急坂。主要な街道としてはかなり急だと思う。
○大坂:旧道の急坂が新道脇にひっそり残り、かつての風景を伝えている。
○大坂、牛鳴坂:旧道部分の急な坂は往時の旧街道の難所のイメージが残っている。

○大阪を下ってきて、氷川神社境内:高速道路が縦横に走っている中で、不思議な落ち着きを感じました。
○上目黒氷川神社前の道標:街道らしさを感じることができた。

○氷川神社参道下の道標:刻まれた文字から昔はY字三叉路だったと推察したら、古地図で実際にそのとおりだった。
○池尻稲荷神社のある旧道:246号の喧騒からのがれられた。
○池尻稲荷神社界隈:特に神社の説明は昔を彷彿。

7.◆沿道の歴史文化の表示について(史跡や街道について適切に解説がありましたか)評価点(2.56)内訳BBBBBCCC
A:多すぎずほど良い感じでした。
B:坂の名前や神社仏閣の由来、道標の解説など随所にあった。特に港区はどの坂にも必ず表示と解説がある。
B:坂の出入り口等には教育委員会による表示がありよかった。池尻稲荷神社の由来の説明板は感心した。
B:大山街道、厚木街道などと書かれて案内されていた。
B:特に、坂道についての説明はきっちりと表示されていた。
B:史跡についてはそれなりにあったが、街道については少ないのが残念。
○それなりの説明もされていたが、道路の拡張や変更によって、石造物などが移動され、現況との相違が理解しにくいように思えた。
○渋谷マークシティ前にあった石碑の説明文は、くずした字が使われていて読みづらかった。
C:比較的に表示はあった方かもしれません。しかし、大山街道との関連をもっとふれていただければと思います。
C:全体としては、まあまあ良いと思います。ただ、上目黒氷川神社と三軒茶屋に置かれた道標の向きについては、確かにもっと配慮すべきだと思いました。
C:寺社仏閣についての説明が不足していた。

8.◆今回の企画についての感想など(自由記入)
○最初距離が短いかと思いましたが、立ち寄り先が多く思ったより時間がかかりました。谷貝さんには大変だったと思いますが、いろいろ解説や、お話しを伺い参考になったり興味がわいたり、面白かったです。今後とも宜しくお願いします。今後も楽しみにしています。(K.I)
○主催者による下末吉面や武蔵野面など地形の解説がよかった。(J.N)
○谷貝さんによる東京の地形に関する説明のもとに歩いたので、その構造を実感しながら歩けた。次回以降、大山詣での実感がどの程度感じられるのか楽しみだ。(Y.K)
○今回の区間は、古くからの街道らしさが残っているかということでは、少なかったように思います。しかし、街道の土地利用が変化し、風景が変わるのは当然です。変わった結果としてどうかというならば、建物の質は高いし、商業も盛んでとても魅力のある沿道だと思います。(T.S)
○距離が適当だったためか、沿道の周辺を十分楽しみながら歩くことができた。最後に、三軒茶屋の展望台から大山を望み、ゴール地点までの距離を実感できたのが感慨深かった。(H.M)
○牛鳴坂の東側はよく通っている所だが、旧道とは知らなかった。三軒茶屋のキャロットタワー展望台から見た大山は、その特徴的な形からやはり信仰の山とされたことを実感した。昔であれば、歩きながら常に大山が見えていたと思う。(T.K)
○街道に沿って都市的な開発が進んでしまい、歴史的な遺産があまり残されていなかった。赤坂、大坂、池尻の旧道区間にのみ僅かな面影が残っている。(H.Y)
○1月とは思えない汗ばむ陽気の中を高低差のある道中、4歳の娘と踏破できた充実感がありました。楽しく歩けました。ありがとうございました。(M.W)
○都心にこれだけの見所満載とは歩いてみるものですね。 追伸)佐屋街道の案内をもとに、名古屋の『歩こーる会』(東京では、なごやか会という分派)では、金山〜津島を津島天王祭にあわせ、177月に1回で踏破しました。(K.N)
○大山街道(矢倉沢往還)の第一回にふさわしい抜けるような青空の下、青山通りから玉川通りという東京の目抜き通りを歩くことができました。特に、薬研坂再開発、2つの青山市街地アパート、大橋ジャンクション再開発・・・と都市開発現場を通ったのが面白かったです。古刹・梅窓院の建替えも、美しいモダンデザインで感心しました。今回は、かつて東海地区の美濃路街道ウォークを一緒に歩いた仲田さんが、東京に転勤になって関東地区に参加されたのがうれしかったです。また、池尻の旧道で地元在住の本橋さんがご近所を案内くださったのも楽しかったです。もちろん、三軒茶屋で葉月さんと合流しての懇親会、二次会も・・・。谷貝さん、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。(R.O)
○都心の旧街道は、江戸城に近く、江戸の地図を見ながら歩く楽しさがあります。その割には江戸を感じられる部分が少なくなっているのが、残念です。しかし、坂が多く、往時の難所を体感でき、東京の地形を楽しむことができました。(M.F)

主催者より
 いよいよ大山街道(矢倉沢往還)ウォークがはじまりました。春を思わせる暖かな陽気と沿道の華やいだ町並みが印象的でした。第1回ウォークの後、江戸東京博物館の常設展を見る機会がありました。江戸のコーナーで東京の地形の上に主要街道が描かれている展示地図があり、見事に尾根筋に沿って街道が通っていることがよくわかりました。大山街道は、下末吉面と言われる淀橋台上のルートで、溜池川、渋谷川、目黒川の大きな谷を横切りますが、台地上の比較的平坦な区間でも尾根道を選んでいます。次回は、蛇崩川、谷沢川の武蔵野面上の緩やかな坂を伴う谷を通過し、最後に国分寺崖線を多摩川に向かって一気に下ります。活動の最後に三軒茶屋のキャロットタワーから目指す大山を望むことができました。目標に向かって歴史を紐解きながら一歩一歩進んでいきたいと思います。(谷貝等)
←赤坂御門跡で集合しスタート

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