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旧街道ウォーク309★日光御成道(岩槻街道)その2「飛鳥山〜川口宿」活動報告──────── 

【日 時】2006年5月21日(日) 11:00〜17:40頃

【コース】王子駅〜飛鳥山(飛鳥山博物館)〜旧澁澤邸(青淵文庫+晩香櫨)〜音無橋(音無川親水公園) 〜王子稲荷神社〜名主の滝公園〜富士神社(十条富士塚)〜清水坂〜普門院(稲付一里塚跡) 〜静勝寺(稲付城址)〜赤羽駅〜宝幢院(板橋みち道標)〜岩渕町(旧岩淵宿)〜小山酒造〜新荒川大橋(旧渡船場)〜本一通り(旧川口宿)〜錫杖寺〜川口元郷駅<約7.5キロ>
【参加者】○大竹 亮、小野 修、梶川義実、児山文一、関沢 愛、高梨健一、千川 明、長澤純一、野竹宏彰、橋本 修、古里 実、松本幸司、水谷晴子、村松紀明、山川紀子、山口 天、山田常圭、脇野真澄、△小野田美都江、△片桐拓朗、△山田由美子、岩田 清(5/13)
      (以上、22名。△は部分参加)
【概況説明】日光御成道(岩槻街道)の第二回は、まず午前中に江戸随一の行楽地・飛鳥山の飛鳥山博物館と旧渋澤邸の重文建築を訪問し、午後から旧街道を北上しました。音無橋と音無川親水公園、王子稲荷神社と名主の滝、十条富士塚と清水坂、静勝寺(稲付城址)と宝幢院(道標)など、由緒ある史跡の数々が武蔵野台地崖線に沿って並び、非常に見どころ豊かであったため、予想外に時間を費やし、都県境の荒川を挟んだ旧岩淵宿と旧川口宿を歩き切った錫杖寺で夕刻終了となりました。長い長い新荒川大橋からの夕景が、遙かな旅を実感させてくれました。
【評価結果】今回の道筋は準幹線道路ながら歩道のない区間が長く、安全性の評価(2.20)は低くなりました。しかし、沿道の魅力(3.80)は旧渋澤邸、名主の滝、稲付城址など見どころが非常に多く、総合的にはやや高い評価(3.14)を得ました。十条付近の歩道整備を切望します。
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【参加者の評価結果】

1◆安全性(危険を感じないで歩けるか)  評価 2.20(内訳 ABBBBBBBCCCCCCD)
B:まずまず安全だが、歩道がなかったり狭かったりして、自転車や車が追い越すのに危険を呼びかける場面が多かった。 
B:特に危険は感じなかったが、自転車や車が結構多かった。
B:道幅の歩道ラインが狭くなり、車に注意して歩くことがあった。
B:道路を横断する時に横断歩道がないため危険な箇所があった。宝憧院前の道路など。
B:一部歩道の狭い箇所があった。
B:歩道がない区間が多く歩きづらい。
B:東十条二丁目から赤羽駅間、道幅が狭く、車の通行も多く、やや不安だった。
C:全般に危険は感じなかったが、清水坂〜赤羽駅間は歩道が狭い上に自動車交通量が多く危険性を感じた。 
C:旧街道という成り立ちの宿命なのかもしれないが、中途半端な幅員のまま現在でも地域の準幹線道路として利用されている区間が多く、歩車分離されていない所に意外に多い自動車の流入があり、危険で歩きにくいと感じる個所がかなりあった。
C:新荒川大橋の歩道は狭く、自転車に気を使った。
C:歩道が狭い。特に新河岸川と荒川を渡る橋は、自転車が多く歩きづらかった。
C:狭い路地での車や横断歩道が十分でないために怖い思いをした場所が数カ所あった。橋の自転車も脅威だった。 
C:十条から赤羽にかけての区間は歩道がなく、車の危険を感じた。他の区間は歩道があり、問題ない。
D:十条付近は道も狭く、停車車両があれば絶句でした。

2 快適性(気持ちよく歩けるか) 評価 2.60(内訳 AAABBBBBBCCCCCC)
A:飛鳥山、王子稲荷、清水坂、稲付城址など丘や崖の緑が美しく、音無川、名主の滝、荒川などの水景が爽やかで、見晴らしの良い場所も多く、江戸郊外の自然を実感ながら歩くことができる。
A:天候にも新緑にも恵まれ気持ちよかった。
A:天候にも恵まれ快適だった。
B:大きい川を渡ると風が渡り、川面の美しさを感じる。
B:赤羽駅手前には、多少、旧街道を感じることができる旧家があった。
B:街道筋それ自体は歩きにくい個所があったものの、変化(アップダウン、曲折など)に富んだコースで、楽しめた。
B:地形の変化を楽しめた。
B:全体的には楽しく歩けた。
C:都心部なので快適とまでは言えない。
C:車の通行量が多い。
C:歩道があるものの自転車交通量も多く、自転車を気にしながら歩く区間が多かった。新荒川大橋は歩道の容量不足で問題。
C:新荒川大橋はせっかく広々とした空間なのに、自転車の数に対して歩道が狭くもったいない感じ。
C:なんとなく雑然とした街並みが多く、人を除けたり、周囲に気を配っていないといけないそんな場所が多かった。

3 沿道の魅力(立ち寄りたい場所が多いか) 評価 3.80(内訳 AAAAAAABBBBBBBC)
A:今回は盛りだくさん。博物館などは別にゆっくり時間をかけて見たいと思う。
A:王子・赤羽間は歴史を感じる旧跡も多く楽しい気分でした。旧川口宿もそれなりの趣を感じました。
A:飛鳥山の3つの博物館、旧渋澤邸の重文建築から、水と緑の名所旧跡、宝幢院道標、昭和レトロな旧川口宿の街並みまで、沿道に見どころが目白押しだった。
A:飛鳥山の3博物館は、ぜひまたゆっくり観てみたい施設。ここ(特に「北区飛鳥山博物館」)を最初に観て、地域の古代からの地形の形成史をあらかじめ学んでおくと、その後のウォークの興味が深まった。そのほか、沿道の神社仏閣、富士塚や路傍の庚申塔・石塔など、つい立ち止まりたくなる場所が多くあった。
A:飛鳥山の博物館、音無川親水公園、名主の滝公園は大変魅力がある。
A:名主の滝公園や十条富士塚など、江戸の雰囲気を感じられた。
A:渋沢邸、音無川、名主の滝などがよかった。
B:騒々しい都会の中に、飛鳥山、音無川親水公園、名主の滝公園等の緑豊かなオアシスを発見できた。
B:王子稲荷、名主の滝等、名所がある。
B:飛鳥山周辺は見所がある。
B:ところどころに、寺院や神社があり、あきることがなかった。
B:第一回目ほど多くはないが、結構良かった。
B:それなりに見るべき所があり楽しめました。
C:段丘に沿って、ところどころに段差を活かした見所があり、興味がわいた。

4 総合評価(歩く道としての総合的判断)  評価 3.14(内訳 AABBBBBBBBBBBC)
A:武蔵野台地の東端の崖上から荒川を渡って埼玉の低地に至る景観上の味わいが深い道である。見どころも非常に多い。十条付近に歩道がなく危険な場所があり、ぜひとも対策をお願いしたい。
A:大竹さんのサービス精神と事前準備に感謝。
B:江戸時代からの連続性が感じられる場所が多かった。特に、十条台小学校〜赤羽駅間は道路幅員といい、沿道の遺構といい街道の雰囲気を残していた。
B:普通の見逃してしまう景観も、詳しい、楽しい、説明をしていただき、別な角度から見れたことが良かった。
B:見所が結構多かった
B:天候に恵まれ、沿道周辺にも魅力があった。
B:前回よりも道幅が狭まり、歩きづらい箇所が多かったが、沿道には魅力がある。
B:街道としての線的な面ではあまり良い印象をもてなかったのですが、点として見応えのある箇所は多かったと思う。
B:断崖の窪地を歩くような場所もあり、土地の起伏が楽しめた。
B:東京の台地から新河岸川、荒川を渡り埼玉に入る変化を堪能できた。
C:王子から赤羽付近までの区間は、東向きの斜面(段丘の上下)を歩きますが、どこから見ても東北新幹線の高架橋が鬱陶しい、目障りだと感じました。江戸時代の風景画の風情が台無しです。100年後に、北区版「BIG DIG」をやれるといいな。

5 特に印象に残った箇所とその理由(いくつでも)
飛鳥山の博物館、建物★
旧渋沢邸★重要文化財の中を見られた。
旧渋沢邸★渋沢史料館で渋沢栄一の偉業と人生を知った後に内部を訪れたので、迫力があった。
旧渋沢邸★椅子に座って窓から眺めた渋沢庭園の緑のグラディーションがとても素敵でした。
音無橋★渓谷の上に架かる表現主義デザインのアーチ橋が美しい。
音無川親水公園★都心の潤い空間。
音無川親水公園★名主の滝★こじんまりとしているが、北区の昔からの地形を利用した公園の充実ぶりが印象に残りました。
名主の滝公園★この付近が江戸の避暑地だったことを今も実感させてくれた。
名主の滝公園★個人が自宅内に造ったという多数の滝に驚嘆。
名主の滝公園★村名主があれだけのものを一般庶民に開放していた。
名主の滝公園★新幹線の横に、あのような静寂で野趣あふれた場所があるとは。
名主の滝公園★うっそうと緑が生茂っていたのが印象に残った。
名主の滝公園★都内とは思えない静けさの中、涼を楽しむことができた。
名主の滝公園★
王子稲荷神社★歴史と風格を感じました。
十条富士塚★富士山麓に住んでいることもありますが、富士塚には大変興味がありました。
十条富士塚★富士山信仰と300年前の大爆発も考えさせられるものあり。
十条の同潤会住宅★定外ではあったが現存する同潤会の木造住宅(防災的にはかなりショック)
八幡神社(清水坂脇の小祠)★丘の先端に孤立する風情にひかれる。
稲付城跡(静勝寺)★台地の突端にある砦の意味が良く理解できた。
稲付城址(静勝寺)★城、要塞、居城等の分類を考えさせられた。
稲付城址(静勝寺)★太田道灌の砦跡は残念ながら全てが静勝寺になってしまっていたが。
稲付城址(静勝寺)★急な階段を登り切ると下界とは違った穏やかな空間があるのが気に入りました(すぐ脇は住宅地ですが)。今後ともこの風景を残してほしいものです。下の街路が拡幅されると、微妙に影響がでるかもしれません。
赤羽駅周辺★延々と続いていた立体化工事がようやく完成して、踏切がなくなり、高架下もショッピングモールになりました。駅の東西の分断も薄れてきたようです。西口の再開発エリアは全国共通の顔で全く個性がありませんが、変化するまちの典型的な例でしょうか。
小山酒造★マンションが建っていた。
新荒川大橋★広々とした河原の夕景を眺めながら、長い長い橋を渡り、東京から埼玉に入ったとき、この上もない旅情を感じた。
旧川口宿★広い道路、橋から急に街道に引き戻された感じが好印象。

6 街道らしさを感じた箇所とその理由(いくつでも)
音無川周辺★
十条富士塚★富士講の歴史を感じさせた。
十条富士塚〜赤羽駅手前★微妙にうねりながら緩やかに台地を下っていき、両側に寺社や石塔が散在する。旧家らしい仕舞た屋・土蔵もあり、これでクルマが通らなければ寛いで歩けるところ。
十条台小学校〜赤羽駅★道標や庚申塔など、街道の基本要素を備えていた。
東十条二丁目〜赤羽駅★街道の雰囲気が感じられました。
赤羽駅手前の街道沿いの家★古い家が残っており、街道らしさが感じられた。
清水坂★雰囲気として趣きがあった。
清水坂★現在はアスファルトだが、曲りくねった急勾配の土を一歩一歩草鞋で踏みしめて歩いた昔の旅人の足音を感じた。
やはり、稲付城址(静勝寺)★お茶の接待でもあれば疲れが吹き飛びそう。
板橋みち道標★古代官道、鎌倉街道に遡る古道が、江戸時代も、そして今も使われている証に感動!
板橋みち道標★今も案内標識になっている。
鎌倉橋石碑★昔この川を船や籠に乗って渡った人達の姿を連想することができた。
旧川口宿付近★街道の雰囲気が感じられた。
旧川口宿★古い建物が残る昭和レトロの商店街。素材は多く、街並み整備すれば面白いだろう。
旧川口宿★古い家が2軒ばかり残っている。
★岩淵宿も川口宿もあまり街道らしさが残っていないように感じた。
★今回、街道という点では今一つでしたが、清水坂あたりが何とか街道であったかなあと感じられました。逆に期待に反して、本一通りは街道としても宿としては魅力を感じられませんでした。
★旧道がまだ拡幅されずに古い町並みが残っている。

7 最も江戸を感じた箇所とその理由(一つだけ)
飛鳥山★
飛鳥山★江戸の行楽地を偲ばせる
飛鳥山★江戸の行楽地を身近に感じることが出来ました。
飛鳥山★博物館での人形劇での紹介。
扇屋と久寿餅★名所の近くにこうした老舗が今も残るすばらしさ。
王子稲荷神社★坂をうまく利用した空間構成に江戸を感じました。
王子稲荷神社★江戸名所絵図にある。
名主の滝公園★「名主」という言い方に江戸を感じる。
十条富士塚★江戸時時代の富士山信仰の大きさを感じました。
十条富士塚★前回や他の江戸期の街道の沿道には必ずといっていいほど富士塚があった。当時は富士山も良く見えたと思うが、それでも富士山を作るところに、江戸市民の信仰の深さを感じた。
十条富士塚★いくら山岳信仰が盛んだったとはいえ、これだけの溶岩や土を積み上げるのは当時の人力   オンリーの施工では大変だったでしょう。本物の富士山に登るのはいまでも大変ですが(登った経験なし)、当時は近くへ行くのも大旅行。代わりに近場にイミテーションを作ってしまう、ということがあちこちで行われたというのはなんとも不思議です。富士塚というのは、いったいどのくらいの地域に分布しているのでしょうか? 
板橋みち道標★270年近くも良く残っていたものだと感激。
板橋みち道標★ズバリ、「南江戸道」。
錫杖寺の塀の三つ葉葵のご紋★将軍が昼餉に立ち寄ったという歴史をずばり、今に伝える。(「江戸」は江戸時代の意味で)

8 沿道の歴史文化の表示について(史跡や街道について、適切に解説がありましたか)
●北区は地域の歴史認識の浸透に気をつかっているようで、博物館の展示や沿道の寺社の解説文などはよく整備されていると感じました。ただ、一部の道標の石塔は磨滅・破損して文字が読み取れないものがあり、こういうところにも解説・表示がほしいと思います。注意していないと見過ごしてしまう所も有りました。
●かなり適切であったと思います。
●見所にはちゃんと解説が付いていた。
●随所にあるにはあったが、岩淵宿や川口宿は不十分。
●第一回目より少なかった。
●あまりなかった。
●解説などは少なかった。あまり旧街道を重要視していないように感じられた。
●旧川口宿について、わかり易い案内が欲しい。
●錫杖寺に川口宿の説明版があり、絵図の縮小版も掲載されていが、荒川との関係や方位がわからず現在との対比ができなかった。折角なのでもう少し解説が欲しい。
●所々にあったが、結構詳細で、もう少し素人でも興味がもてるような書き方があってもよいのではと感じることがありました。
●もう少し解説があってもいい。ただし、立ち止まれる場所に。

9 今回の企画についての感想など(自由記入)
●旧渋沢邸など飛鳥山・王子付近は見所が多く、王子の大竹さんご推奨の扇屋の卵焼き、梶川さんご推奨の久寿餅もおいしかった。(長澤純一)
●好天に恵まれ、暑いながらも楽しく歩くことができました。音無川親水公園と名主の滝公園は、これからの季節、水辺を楽しみにまた訪れたい。(脇野真澄)
●全体を通して楽しめました。名主の滝公園でいただいた扇屋の卵焼きはおいしかったです。新荒川大橋は、とても長くて、最後の方は疲れはてました。(水谷晴子)
●地形も感じられ、歩く楽しみを感じられた。次回は埼玉県内を本格的に歩くので、どんな展開になるか楽しみです。(梶川義実)
●今回は、幼少期居住地域(50年前)である赤羽・岩淵を通ったので感慨深いものがあった。赤羽駅付近は見違えるほど立派になった。したがって、企画として、身びいきも入って特Aです。(関沢 愛)
●天候にも緑にも恵まれ、皆様と一緒に歩けて、快適な一日でした。ありがとうございました。
(橋本 修)
●初参加で緊張のウォーキングでしたが、街道を歩くことが好きな方達と出会えて嬉しく思っています。小山酒造の地酒のお味は如何でしたでしょうか。(山川紀子)
●私にとっては適度な行程でしたが、ベテランには物足りないのでは。深謝、深謝。(小野 修)
●飛鳥山周辺で時間をつかったため、後半が駆け足気味になり、最後は南鳩ヶ谷までたどり着けませんでしたね。それにしても「将軍様専用」の街道で、しかも江戸時代には19回(も?、しか?)通行したという道は初めて歩きました。これからだんだん区間が我が家から遠ざかっていきますが、できるだけ参加したいと思います。(村松紀明)
●番外編の北十条の同潤会の見学は参加者によって意見の別れるところという気がしました。小生にとっては良かったが、どことなく写真を撮られる側に感情移入をして多少バツの悪さを感じてしまいました。僕が住人なら、大勢にぞろぞろ見られるのはたまらないなあという感じ。(山田常圭)
●東京都内に比べ、埼玉県(川口)の魅力が不足していることを実感させられた。(古里 実)
●歩いてきて都県境を越えたことに少し感動。(松本幸司)
●雨も自然の中の出来事なので、往時の旅人の難儀を思えば、雨もまたよし、としますか。
(5/13歩行:岩田 清)

主催者より◆日光御成道(岩槻街道)第二回、お疲れさまでした。みごとな五月晴れの下、濃い新緑と涼しげな水景の中を歩きました。東京の台地から、荒川を渡って埼玉の低地に入り、遙かな旅を実感しました。次回からは主催を古里さんにバトンタッチです。よろしくお願いします!
(大竹 亮)


▲旧渋沢邸青淵文庫                    ▲名主の滝公園


▲清水坂付近の旧道                    ▲旧稲付城址(静勝寺)


▲荒川の渡河風景                       ▲旧川口宿の旧家


▲集合写真

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